ではニセコワイナリーの物語、続けますね。
2007年、遂に畑が完成して
脱サラを敢行した本間さん。
しかしブドウ栽培のノウハウや、
冬の雪対策がどれだけ大変かについても
まだあまり知識がない状態でした。
そこで北海道最大のワインメーカーに
手紙を書いて、契約農家としての
サポートを依頼します。
ところが、担当者が実際に畑を訪れて
土壌や日当たりを調査した結果…
「ここでワインを造るのはやめた方がいい。
もし私の父親がここでブドウを造ると
言ったら、私は断固反対します」と、
キッパリ言われてしまったそうなんですね![]()
どうやら日当たりの関係で
雪解けに時間がかかり、
充分な糖度を得ることができないから、
というのが理由のようでした。
当然、本間さんはそれを聞いて愕然とします💦
しかし、そこに思わぬ救いの手が…![]()
知り合いの農家さんがその話を聞いて、
近くにある日当たりの良い土地を
紹介してくれたんですね。
そこで本間さんはそこを代替地として購入し、
そしてまた原野を切り開く作業をスタート。
1年後、またその担当者に土地を見てもらい
「それでも難しいかも…」とは言われたものの、
最後は自分の決断でチャレンジすることに。
こうして2008年5月、最初のブドウの
苗木の植え付けがスタートしました🍇
ワイン醸造用ブドウの収穫には、
普通苗木を植え付けてから
最低3年は必要とされます。
2008年に植え付けが始まったブドウは、
2010年秋に初の収穫を迎えました。
ワイン醸造家は通常、
最初は「委託醸造」といって
醸造免許を持ってる業者に依頼して
ワインを造ってもらい、
実績を積んでから自分で醸造免許を取って
「自分のワイン」を造る道を辿ります。
こうして本間さんも、道内のワイナリーに
初収穫した100㎏のブドウを持ち込んで
委託醸造からスタートしました。
ワイン造りの経験ゼロだった
本間さんにとって大きかったのが、
2014~15年の2年間、岩見沢にいる
アメリカ出身のブルース・ガットラブさん
という醸造家の方に付きっきりで
ワイン造りの基本を学んだこと。
ブルースさんに醸造を依頼した本間さんは、
そこで彼からブドウの糖度を
もっと上げるよう宿題を課されます。
本間さんはそれからというもの、
毎朝3時に起きてきめ細かくブドウの
手入れをする地道な作業を続けました。
こうした想いにブドウもしっかり答え、
翌秋にはそれまでの7倍の量を収穫、
糖度も無事宿題をクリアしたのです![]()
本間さんはまた、道庁が行う
「ワインアカデミー」という
1年間のトレーニングプログラムにも参加。
そこで専門家から、醸造の科学的な知識や
市場開拓マーケティングなどについて
学んだそうです。
2010年に委託醸造を始めた本間さんは、
こうして2016年には醸造免許を取得して
念願の自家醸造をスタート💨
脱サラから約 10年。
いよいよここからが「本当のスタート」です!
ところで…僕が不思議に思ったのは、
ここまでは困難の連続で
本間さんにはあまり収入がなかったはず💦
さらに土地や建物・設備などにも
かなりの資金が必要になりますよね?
その間お金って一体どうしてたんだろう…![]()
皆さんそう思いません?
軌道に乗るまで食いっぱぐれのないように
ちゃんと蓄えを準備してたのは
前述のとおりですが、
それにしても本当に大丈夫だったのか
余計なお世話だけど気になりました😅
本間さん曰く、
やっばり普通のサラリーマンの蓄えでは、
ワイナリーを造るのはまず難しい💦
ただ、そんな中役立ったのが
以前出版してベストセラーになった
本の印税収入だったそうなんです📕
なるほど、ココで伏線回収できました![]()
その後、2017年には自家醸造の
「オーガニックスパークリングワイン」が完成🍷
ワイン造りにおいて本間さんが
徹底的にこだわったのは、
環境に負荷をかけない「有機栽培」でした。
それはまず安心安全なワインにしたいのと、
観光客の多いニセコで
手に取ってもらえるワインにするためには、
何らかの付加価値を付ける必要性を感じたから。
そして2019年には、倶知安町で開催された
G20観光担当相会合のレセプションでも
本間さんのワインが提供されるなど
品質的な評価も高まっていって、
さらに2024年にはアメリカや
アジア市場への大口輸出も開始💨
本間さんのワイン造りは、
こうして苦難の時を乗り越えて
しっかりと軌道に乗ったのでした![]()
ところで、最初専門家に
「ここでワイン造りは無理」と言われた
土地なんですが、実は今そこでも実際に
ブドウの栽培が行われてるそうなんです![]()
それは何故かと言うと…地球温暖化の影響。
その話があった 2005年当時と今とでは、
平均気温が約1.5℃も違うそうなんですね💦
1.5℃って大したことなさそうだけど、
実は植物にとってはとんでもない変化らしい🤔
本間さんが最初に植え付けたのは
寒さに強いドイツ系の品種と、
それから試験的にシャルドネや
ピノノワールなどのフランス系の品種も
少しだけ植えたそうなんだけど、
この15~20年の間にドイツ系の品種は
病気で全滅してしまい、
結果的に一番良かったのが
試しに栽培したシャルドネとピノノワール。
この2つの品種が、まさに一番美味しい
スパークリングワインができる
品種だったのです🍾
話が面白くてだいぶ時間が押しちゃった…![]()
せっかくなので、ワイン造りの現場も
駆け足でのぞかせてもらいました👀
まずは醸造所。
ココにある3つのタンクの中で、
まずブドウ果汁をアルコールに変える
「一次発酵」が行われます。
次にワインセラー。
ココでは、タンクの一次発酵を
終えたものに酵母と砂糖を加えて
瓶の中で二次発酵を行い、
「ガス」を発生させる作業が行われてます。
そのガスが、スパークリングワインの
炭酸になるわけなんですね![]()
↑この瓶の中に溜まってるのが
「澱(オリ)」と呼ばれる、
発酵の役割を終えた酵母。
このオリがこうして沈殿して
濁りの原因になります。
で、この方が何をしてるかと言うと…
この工程管理表に従って、
手作業で30日間かけて
毎日瓶をゆっくり回していって
「オリ」を瓶口に集めて取り除く
「ルミアージュ」という作業。
↑僕もちょっとだけやってみました![]()
こうしてオリが瓶口に溜まったら…
この穴がたくさん開いた
「ネックフリーザー」という機械に
瓶を逆さまに入れて、
−25℃で瓶の頭を凍らせます。
そして凍ったオリを王冠と共に噴出させると、
濁り成分が全部外に逃げて
きれいなワインだけが残るという仕組み![]()
スパークリングワインの製造工程には、
普通のワインには必要のない
こういったプラスアルファの作業を加えて
付加価値を高めるという
特徴があるんですね![]()
こうして完成したワインは、
一定の温度に保たれたこのワインセラーで
3年間寝かせてから出荷。
それが、ニセコのキラキラと輝く
パウダースノーを表現している、
クリアできめ細かい泡を持つ
ニセコワイナリーの
スパークリングワインなのです🍾
本間さんに聞くと、
雪の多いニセコでのブドウ栽培は
大変なことの方が多いそうです💦
でも逆に雪があるおかげで
リゾートとしての巨大な総合力が
ニセコにはあって、
品質さえ良ければワインがよく売れる
というメリットもある。
ニセコワイナリーの
オーガニックスパークリングワインは
「ニセコでしか飲めないワイン」
であることに価値を感じてもらうために、
販売は直販かオンラインストア・
道の駅など、有機栽培にかける想いを
しっかり伝えてくれる店だけに
絞っているそうです![]()
そんな本間さん達が今推進しているのが、
「ニセコワインツーリズム」。
ニセコ町内にはニセコワイナリー以外の
ワイナリーはまだないけど、
現在3名のワイン醸造家が
ゆくゆくは自分のワイナリーを持つべく
ニセコワイナリーでトレーニング中。
↑のワインセラーで作業してた若い方も
その中のお一人だそうです![]()
本間さんがワイナリーを始めた頃を
一つの転換期として、最近は
若い人が海外の醸造学科で勉強したり
海外のワイナリーで経験を積んだりして
日本でワイナリーを立ち上げる例が
増えてるそうなんですが、
本間さんも先達のトレーニングを受けて
醸造技術を習得していったので、
その恩返しの意味も込めて
ここの設備を活用して
次の世代に本間さんの技術を
習得してもらう機会にしてるそうですね![]()
近年はニセコ町内にも
Chise Farmなど、新しいワイン製造業者が
立ち上がりつつあるけれど、
こういったワイナリーと連携して
町内各地を巡って様々なワインを味わう、
フランス・シャンパーニュ地方のような
観光とワイン文化を融合させた
体験を提供するのが、この
「ワインツーリズム」なのです![]()
銀行やIT業界と、ワイナリー。
この一見無関係に思える両者ですが、
本間さんの中では共通点があるらしい。
本間さんは基本的に物を作るのが好きで、
ITの世界に入ったのも
プログラミングの世界で
とにかく難しいことを解決するのが
楽しみだったとのこと。
そしてワイン造りも、
予期しない問題が次々と起きる中でも
「いよいよ来たか!」という感じで
それをどう解決するかを考える
プロセスを楽しんでるそうです。
だから、実はこの両者には、
そういう点でメチャクチャ共通項がある。
「本物を求める」こととは、
最悪の事態を想定して
最善の準備をするのが鉄則。
安定した道よりも、
自分のやりたいことを追い求めてきた
本間さんの人生。
不安?そりゃあもちろんあるけど、
だからやらないのか、
それとも不安を乗り切るために挑戦するか。
その不安やリスクをどう乗り切るかにこそ、
本来生きる価値がある。
何も不安を持たずに、
死を待つだけの人生って楽しいですか?
長いインタビューの最後、本間さんは
そう締めくくってくれました![]()
このタイミングで、この言葉…
メチャクチャ、心に響きました![]()
本間さんの人生を賭けたチャレンジに
心から賞賛を贈るとともに、
自分自身の勇気にも変えたいと思います![]()

…すっかり長くなっちゃいました![]()
本来3回くらいに分けて
紹介した方が良かったんだけど、
ブログスケジュールの関係で
無理やり前後編の2回に詰め込みました💦
明日、そのニセコ町には
年度末の挨拶に伺います![]()
そして明後日は名寄市へ。
2日間日帰りになるんで、
次の投稿は3日後になるかもしれません。
なので、長文ではありますが
ぜひゆっくりと読んでくださいね![]()