【EZOlogical】ヒグマとの共生・その2。

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ヒグマの話、今しばらくお付き合いください

 

さて、前回は1990年に「春グマ駆除」

廃止された後、ヒグマの数がだんだん

増えてきたところまで話しました。

ココで前回も出したグラフをもう一度。今回注目してほしいのは折れ線グラフの部分。

「農業被害額」についてです。

1990年の春グマ駆除廃止の後、

折れ線グラフがものすごい勢いで

右肩上がりになってるのが分かりますよね?

ヒグマの被害って言うと、どうしても

人身被害が大きく報じられがちだけど、

実は地方に行くとまた別の構図があって

農村で起きているクマとの軋轢、つまり

農業被害の方がずっと長くあったんですよね

そしてこれは、農業の変化や過疎という

人間社会の変化とも深く関わっているのです。近年、北海道では離農、

つまり農家を辞める人が増えて

農業人口が減ってきてる一方で、

農業の大規模化が進んでます。

農業が大規模化・機械化していくと、

ヒトが農地に滞在する時間が減りますよね。

同時に農村部では過疎も進んで、田舎では

人の住まない場所が広がってるわけです。つまり人目のない農地が

大規模に広がってる地方の土地は…

野生動物たちにとっては言わば

「ごちそう食べ放題の食堂」

近年、ヒグマの捕獲数が増えてるのに

農業被害が一向に減らないのは、

駆除するそばからまた新たに

美味しい農作物の味を覚えた

クマたちが増えてきてるからなのです💦

 

さて、春グマ駆除の話に戻りますが、

ココでもう1枚図を見てください↓コレは1978年~2017年までの

ヒグマの分布域の変化。

緑がヒグマの住んでいる地域で、

グレーはいない地域です。

春グマ駆除廃止直後の1991年には

かなり緑の地域がスカスカになってるのが、

2017年にはほぼ全体が緑に、つまり

北海道のほぼ全域にヒグマの生息域が

復活してきてるのが一目瞭然ですよね。元々、明治の頃の開拓期には

札幌とか帯広とかの市街地周辺にも

ヒグマは住んでたわけだけど、

最近の生息域はそれに近い状態まで

回復してきてる状況なんですね。

 

そしてこういった中、

最近新たに始まったのが「春期管理捕獲」

では春グマ駆除と春期管理捕獲では、

一体どこが違うのか?

話を聞いてみました。新しく始まった「春期管理捕獲」は

やみくもにクマを捕るのが目的じゃなく、

市街地近くに出てくるクマを

前もって捕獲しておいて

人間の生活圏にいるクマの密度を減らし、

クマに人間に対する警戒心を与えよう、

というのが大きな狙い。

許可区域は、今年の場合

市街地の端から約5km以内を目安に、

地域の実情に応じて最大10kmキロ以内」

に指定されてるみたいですね。

期間は大体2~3月くらいから

雪がなくなるGWくらいまでの時期。

ところで、春グマ駆除にしろ

春期管理捕獲にしろ、

なぜ「春」なんでしょうか? 実は春って「一番クマを捕りやすい時期」

なんだそうです。

夏になると山の中は葉っぱが生い茂ってて

歩きにくいし、見通しも悪いですよね。

その点冬の間は見通しもきいて、

白い雪の中なんでクマがいると目立つ。

更に雪上の足跡も見つけやすいなど、

より安全にクマを捕獲できる

要素が多いんです。

ただ、真冬だと雪が柔らかくて歩けないので

雪が締まって歩きやすくなる春先が

捕獲時期として選ばれる訳なんですね。

春はクマを捕りやすいってこともあって、

ハンターの新たな人材育成のためにも

有効という目的もあるみたいですよ。ちなみに捕獲数には一応上限があって、

メスが減ると次の世代の増減に及ぼす

影響が大きいという理由で、

オスに比べてメスの方が

上限が少なめに設定されてるそうです。

ただ、今はまだ試行錯誤の段階で、

その辺は毎年結果を見ながら

今後調整していくみたいですね。

この春期管理捕獲が全道で始まったのは

去年からで、今年がまだ2年目。

去年は道内で19市町村しか参加がなくて

捕獲されたクマの数も20頭くらいと

そんなに多くなかったけど、

今年は3倍超の64市町村が

実施の意向を示してるそうです。

 

…というコトで、今日は

「春期管理捕獲」について。

もしこれから皆さんが新聞やニュースで

このワードを目にすることがあったら、

「あー、B・Bが言ってたアレね!」

と思い出してくれたら幸いです

あんまり長くなるのもアレなんで、

ヒグマの話はあと2回くらいに分けて

小出しにしていきますね

明日は今冬最後のゆきのね。

手稲でスキーして来まーす!🎿

コメント

5 件のコメント

  • くま牧場長 より:

    こんばんは。B・B凄いわ。ちゃんとわかりやすく説明してくれてる。農業の大規模化は過去にこのブログで取材した農家の話とかでわかった。くまも木の芽とか食べてりゃいいのになんで美味しいものに手を出しちゃうのかなあって思う。でも春期の捕獲は上限決めてたら難しい気がする。

  • いく より:

    「ご馳走食べ放題の食堂」…😅
    雨竜のB・B農園もヤラれたもんね
    熊や狼が減ってから鹿が増えて
    木の皮を食べて枯れる被害もあるからやみくもに捕獲するわけにもいかないし…
    道総研ヒグマチーム皆さんの研究と試行錯誤は続きそうですね🙇
    今日は暖かいけどゲレンデの状態は
    どうですか?
    シロクマにならなくて済みそうかな?
    降ってないけど日差しも無いから
    斜面が見えるか心配です〜

  • しの より:

    あー、手稲でスキーやってるB・Bのあれだと覚えておきます!
    確かにクマが減りすぎても大変だしね。
    おとなしく冬眠してくれたらもう少しラクなんだろうけど。
    春季管理捕獲ね👍

  • 横浜在住、最近野球熱再開した女 より:

    BBさん、わかりやすく説明してくださいまして、ありがとうございます。道外にいる身としては、このお話しを聞くまで、熊のニュースは怖いと思うばかりでした…。特に北海道は熊の数が多いなと思ったり、例えば札幌あたりで出たと聞くと、本当に怖いなと思ってましたが…。熊との歴史、長いんですね…。
    お互いうまく共存できたら何よりですが(´;ω;`)

  • へいちゃん より:

    こうやって、クマと人間の共生について
    しっかり取り組んでいる方々が居るということを
    伝えてもらえるのはとても有り難いです。
    続きも楽しみにしてます!

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